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2009年4月14日 (火)

No,135『鈴』

第135弾投入。
十二国記強化期間、「風の万里 黎明の空」編。
今回は、風の万里の主人公三人娘最後の一人、海客<鈴(すず)>をば。

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お言葉がわかります。
とは、彼女の心痛を最も表す一言であろう。
うーむ、口、鼻のあたりのラインがずれたな……。目元などはかなりいいはずなのだが。ま、しかし祥瓊よりは再現度が高いと思う。

さて、鈴。
本名は「大木 鈴(おおき すず)」。この名から推測されるのだが、本来は十二国記世界の人間ではない。蓬莱と呼ばれている、いわゆる日本出身の人間である。
生まれは大正初期の貧農家庭。十三才の時に、家計の苦しさから東京の富豪に奉公人として売られるも、その道程で氾濫した川におち、気がついたら十二国記世界の虚海と呼ばれる外海に浮いていたのである。
十二国記世界には、こうして時折、日本から次元を超えて流されてきてしまう人間がおり、それは海から来る人<海客>と呼ばれている。
陽子も行ってみれば海客なのだが、陽子と鈴には決定的な違いがある。
陽子はそもそも、自覚はないにせよ慶国の王として流されてきた。つまり、すでに人ではなく神仙である。しかし、鈴はただ人だ。十二国記世界で使われている言語は、日本語や中国語に似ている要素があるが、全く別の言語体系のため、鈴にはこの世界の言語が全く理解できない。神仙である陽子は、知らず知らずのうちに言語が翻訳されて認識されるのだが……
というわけで、鈴は全く言葉も文化もわからぬ世界に唐突に放り出された、究極の異邦人なのである。
四年あまりのちに、梨耀(りよう)という仙に出会い、彼女が自分の言葉を理解してくれたことから、懇願して梨耀の下女となり、鈴も仙のはしくれとなることで、その苦難からは開放された、かに思われる。
が、梨耀は使用人に対して非常に陰湿で理不尽な主人で、鈴はこの主人にさげすまれならも、放り出されれば言葉のわからぬ世界に逆戻りになることを恐れ……九十年!あまりをすごすのである。
仙になったのが16~17の年なので、見かけは少女だが、実年齢は100歳を超えるw
そんな折、慶国に海客の王、すなわち陽子が即位したことを知り、陽子ならば海客としての自分の苦しみをわかってくれるのではないかと考え、梨耀の下を出奔、慶国を目指す。
というのが、鈴の主なストーリーだ。

言葉がわからないこと、理不尽な主人に仕えたこと、という過酷な環境に100年耐えた……といえば聞こえはいいのだが、実のところそれは自分の不幸に浸っているということでもある。実際、鈴は私は不幸なのだと周囲に訴えるばかりでそれから抜け出す具体的な方策をとっていない。また、他人の不幸と自分の不幸を比べ、自分の方が不幸だと思い込むことで、自分の不幸を納得しようとしている節がある。旅の途中、それに気付かせる少年に出会うも、その少年がたどり着いた慶国で理不尽な殺され方をしたことから、慶国の内乱に身を投じることになり、そしてやがて、かつてあこがれた景王、陽子と出会う。

風の万里は、人間の幸せな生き方、ということについて割りとテーマを置いている話だと思うのだが、その点、鈴のストーリーがその最も顕著な部分を語ってくれているような気がする。
不幸に浸る鈴の生き様というのは、最初は同情的に見てしまうのだが、はっとある時その見苦しさに気付かされてしまい、ものすごく身につまされる思いがした。

むぅ、陽子、祥瓊、鈴。この三人のそれぞれのテーマ性は、本当に深い。やはり風の万里は、十二国記中最高の名作だと思う。

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次回予告。
中原さんキャラクター73個目。
名探偵コナン強化期間。
人の性格と車を巧みに操るも、名探偵の目は欺けず。

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